初代理事長の山城雄一郎先生の後を引き継ぎ、この度、日本小児栄養研究会の理事長を拝命しました。本研究会は2003年に発足し、今年は15周年という節目の年です。発足から今まで、山城雄一郎理事長のもと、胎児から小児までの栄養に関心が強い栄養士、小児科医、産婦人科医、農学研究者、乳業会社等の企業の方の研究発表とディスカッションの場を提供しております。本研究会を通して、共同研究に発展したこともあると思います。また、若手研究者の育成を支援しています。
 これらの実績を踏襲し、さらに発展した研究会にしたいと思っています。栄養関係の学会や研究会は多くありますが、対象者は成人・高齢者が主です。本研究会は胎児期から小児にかけての“人生で最も重要な時期”の栄養学的課題に関して、多職種の実践者・研究者が一堂に会してディスカッションする貴重な研究会です。小児の栄養学的課題は非常に多くあります。健康な子どもも病気を持つ子どももすべての子どもの栄養の課題が対象です。また、近年、問題になっている子どもの貧困、虐待、ネグレクト、災害なども栄養学的にも深刻な問題です。栄養学的問題を予防する研究も重要です。
 ご存知のように小児専門管理栄養士制度の設立が準備中です。日本臨床栄養学会、日本栄養士会、日本小児外科学会などの関連学会から推薦された委員で運営会議を設立し、具体的な認定方法などを検討中です。制度が確立された暁には、本研究会への参加および発表が研修に役立つような研究会にしたいと思っています。
 日本の栄養学の弱いところは、臨床栄養の研究が少ないことと指摘されています。病院・保育園・学校、保健センター等の施設で活躍している栄養士は日常業務に忙しく、計画的に研究を立案し、実行し、学会や論文で発表するという経験が少ないと思います。医師や大学で研究している栄養士と組んで、現場での課題に取り組み研究を推進することが、本人の栄養士・研究者としての質の向上ひいては臨床栄養学の発展に繋がります。本研究会をそのような共同研究を始めるきっかけや発表の場にしていただきたいと願っています。
 しかし、会員の皆様の協力無くして、研究会は発展しません。ぜひ、本研究会に参加されて、研究会を盛り上げていただき、参加者や多くの方(対象の子たちを含む)にとって有意義な会に発展しますよう祈念しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
平成30年4月1日
日本小児栄養研究会理事長
帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 児玉浩子
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